浦安音楽ホール

J:COM浦安音楽ホールは、生音の響きを重視し、クラシックを中心とした
音楽を楽しむことができる本格的なコンサートホールです。

【スペシャルインタビュー】2/4(火) 田原綾子(ヴィオラ)公演

おとマルシェVol.24 田原綾子(ヴィオラ)

J:COM浦安音楽ホールが注目の若き音楽家たちにフィーチャーする公演、『しんうらやす おとマルシェ』シリーズ。Vol.24の2月4日(火)には、田原綾子さん(ヴィオラ)が登場します。

ルーマニア国際音楽コンクールで優勝し、ソロだけでなく室内楽奏者としても多くのコンサートに出演している田原綾子さん。J:COM浦安音楽ホール初登場の彼女にインタビューをしました。

ーーーーーーヴィオラに出逢ったのはいつどのような状況だったのでしょうか。
そのとき手にとって音を出してみたのでしょうか(印象は如何でしたか)。

田原)
 初めてヴィオラに触ったのは高校1年生での弦合奏の授業でした。その時は音符を読むのも音を出すのもやっとで、ただ必死になってひたすらに弾いていたことをよく覚えています。
 そんなヴィオラ初心者な私でしたが、昔から室内楽での内声に興味を持っており、2年生の時にカルテットのグループを組むことになったことをきっかけで、この楽器を日常的に触るようになりました。

ーーーーーープロとしてヴィオラを弾いていこうと決心なさったのはいつですか。
何か具体的にきっかけがあったのでしょうか。

田原)
 恩師・岡田伸夫先生にお会いして、最初に受けたレッスンで、私は一生ヴィオラを弾いていく!と強く思うようになりました。楽器の構え方や音の出し方を基礎から教えてくださり、「大きなヴァイオリンの音」から「ヴィオラらしい音」に変化していくのが本当に楽しかったです。自分の音が変わっていくのが面白くて、夢中になって練習していました。

ーーーーー楽器としてのヴィオラの魅力や好きなところを教えてください。
逆に弾いていて難しいなあと思うのはどのようなところですか。

田原)
 あたたかく深い音色。人の声のように語り、心のひだに触れてくるような音が溢れてくるのがヴィオラのすごいところだと思います。色々な方と演奏をご一緒することも多いので、人との出会いに恵まれるのもこの楽器の素敵なところです。
 ヴィオラらしい音を出せるようになるのがなによりも時間のかかる長い道のりで、楽器もヴァイオリンより大きいために、自然体で楽器を奏でられるようになることが意外と難しいような気がしています。ヴィオラを弾き始めてから10年以上が経ちますが、今でも鏡を見て、姿勢を見直す日々です。

ーーーーー田原さんは室内楽でアンサンブルにも積極的に取組んでいらっしゃいます。
音楽づくりの面で、ひとりで弾くときと異なるのはどのようなことでしょうか。
共通することもあるのでしょうか。

田原)
 室内楽におけるヴィオラの役割は内声を充実させること。今井信子先生のお言葉を借りると、室内楽をワインに例えた時、ファーストヴァイオリンはラベル、チェロはボトル、そしてセカンドヴァイオリンとヴィオラはワインそのものだそうです。そのためには作品をよく勉強し、立体的に音の配置をイメージできるよう、工夫するようにしています。
 このことは一人で弾く時にも同じで、楽譜をよく読み、全体を見ながら作品を構築していくようにしています。室内楽の面白いところは、他のメンバーの意見を取り入れながら音楽づくりができること。逆にソロの醍醐味は自分一人でひとつの音楽を完結できることだと思います。

ーーーーー今回選曲していただいたブラームスのヴィオラ・ソナタの演奏を通じて
どのようなことをお客さまへ一番お伝えしたいとお考えでしょうか。
作品の聴きどころや魅力とあわせて教えてください。

田原)
 この2つのブラームスのソナタはヴィオラ奏者にとってなくてはならない、大切なレパートリーです。ブラームスが晩年に書いた作品に取り組むことはなかなかの覚悟が必要ですが、それ以上に重厚で情感あふれるこの音楽に取り組めること、とても楽しみにしています。
 ヴィオラの豊かな音色をたっぷりと味わっていただけたらと思っております。少しでもたくさんの方にお越しいただけたら嬉しいです!