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2017年に演奏活動55周年を迎えた前橋汀子が
聖夜に贈る珠玉のヴァイオリン名品集

聖夜に贈るヴァイオリン名曲集

小職がクラシック音楽の仕事に携わる以前のことですが、コンサート通いに明け暮れていた時期がありました。当時の音楽日記のようなものには、前橋汀子のリサイタルを聴いたときの印象も書きつけていました。二十数年も前のことです。恥ずかしいのですが紹介しますと、「何ものをも寄せ付けない集中力。一心不乱、入魂の演奏」とありました。
昨年、女史のライブを聴きました。印象は二十数年前とまったく変わりませんでした。2017年には演奏活動55周年を迎え、バッハの無伴奏作品のレコーディングに30年ぶりに挑むなど、進化と深化の歩みをけっして止めない前橋汀子。第一線で長きにわたり輝き続けるため、人知れず努力を積み重ねているであろうこと、そしてなにかを究めるその姿勢を思うたび、背筋が伸びる気がします。小職にとってメンター（指導者、助言者）のごとき存在です。
クリスマスに贈るのは珠玉のヴァイオリン名曲集。1曲1曲の、聴き手を包み込むような音楽には、磨き上げられた技術と圧倒的な人生体験、そして求道者としての厳しさと芸術への深い畏敬の念が詰め込まれています。
「人生で迷ったら前橋を聴け」 — 小職自身は勝手にこう心に刻んでいるのですが、今年の聖夜は、迷っている人も迷っていない人も唯一無二のヴァイオリンの響きに身を委ねてください。

J:COM浦安音楽ホール　館長 嶋田拓生